中西夏之

山頂の石蹴り No.4

1970
1
作家名

中西夏之

制作年

1970

素材・技法

油彩/カンヴァス

サイズ

73.1×91.5cm

収蔵番号

NN-003

©︎ NATSUYUKI NAKANISHI

《山頂の石蹴り》は、1969年から1972年にかけて油彩がNo.0-No.10まで11点制作されており、当館はNo.2、No.3、No.4、No.10を所蔵しています。このタイトルは特定の図像を指すものではなく、絵画が生まれる場や、描くという身体的な行為そのものを示しています。
本作の背景には、ラルース百科事典(1935年版)に掲載された「心臓(Coeur)」の作図法から着想を得た《二つの正三角形に支えられたハートの描き方》(1966)があります。画面に見られる二つの正三角形と逆正三角形は、この作図法に由来するものです。中西はこうした幾何学的な構造を、単なる形態ではなく、身体の動きと結びついたものとして捉えていました。画面中央の足跡は、わずかに平坦な場所を残す山頂に立ち、足裏が地面から浮くような感覚を示しています。そこには、身体を開いたり閉じたりしながら遊ぶ石蹴りにも似た感覚が重ねられています。
中西にとって重要なのは、石を蹴る人間の身体だけではありません。山頂から蹴り出された石は、遠くの山やその先の山脈へと想像上の軌跡を描きながらつながっていきます。石の運動は、近くの一点から遠方へと空間を結びつける行為であり、それは中西の絵画における身体、距離、そして間接的な働きかけへの関心とも重なっています。
1986年には、The Contemporary Art Gallery(西武百貨店池袋店)において個展<《山頂の石蹴り》をめぐって>が開催されました。さらに1989年の<中西夏之展>(西武美術館・高輪美術館)に寄せた評論「磁界にそって」のなかで辻井喬は、中西の絵画について、対象そのものではなく、対象と描く人との関係を見つめるものであると論じています。中西にとって絵画とは、世界をそのまま描くことではなく、身体と空間、近くと遠く、触れることと触れないことのあいだに生まれる関係を平面上に現す試みだったのです。

中西夏之

作家名

中西夏之

制作年

1970

素材・技法

油彩/カンヴァス

サイズ

73.1×91.5cm

収蔵番号

NN-003

©︎ NATSUYUKI NAKANISHI

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