鴻池朋子

ヤマナメクジと月

2015
1
作家名

鴻池朋子

制作年

2015

素材・技法

牛革、ミクストメディア

サイズ

410.0×90.0×270.0cm

収蔵番号

KT-001

©︎ Tomoko Konoike

鴻池朋子は、芸術を人間だけの営みとしてではなく、動物や自然を含む人間以外の存在へと開いていく試みを続けています。本作は、セゾン現代美術館企画の<根源的暴力展>(2015)に出品された作品であり、鴻池がそれまでの紙やカンヴァスに代わり、本格的に革を素材として用い始めた時期の作品です。
革は紙やカンヴァスとは異なる発色を生み出し、染料や絵具が表面にとどまるのではなく内部へ浸透することで、独特の色彩と質感をもたらします。本作では、ヤマナメクジの身体を構成する数百本の細い革が一点ずつ染め分けられ、豊かなグラデーションを生み出しています。また、革を縫い合わせて支持体そのものを形成できる点も重要です。他作品の端革や床革を用いて制作されており、縫い合わされた革が三分割されたステンレスワイヤーメッシュの骨組みを覆い、一匹の巨大なヤマナメクジの皮膚を形づくっています。
山地や森林で見られるヤマナメクジが、鴻池の目のとまったのは九州の霧島の森でのことでした。また、本作に見られる「月」は、鴻池作品に繰り返し登場する重要なモチーフです。《美術館ロッジ》(2012)の舟に載せられた月や、《襖絵インスタレーション》(2020)に描かれたヤマナメクジと月のイメージとも響き合いながら、作品間を横断する連続性を示しています。これらの作品には、月を運ぶという主題だけでなく、梁や鴨居、あるいは造形を支える骨組みといった構造的な共通点も見出すことができます。
東日本大震災以降、鴻池は自身の身体感覚の変化を「ゆっくりと停止」と表現しました。ヤマナメクジは、これまで見てきたものや感じてきたものを引きずるようにゆっくりと移動する存在として、変化した身体感覚や世界認識を映し出しているのかもしれません。

鴻池朋子

作家名

鴻池朋子

制作年

2015

素材・技法

牛革、ミクストメディア

サイズ

410.0×90.0×270.0cm

収蔵番号

KT-001

©︎ Tomoko Konoike

出品履歴