アンゼルム・キーファー

革命の女たち

1992
1
作家名

アンゼルム・キーファー

制作年

1992

素材・技法

ミックス・メディア(14台のスチールベッド、鉛、他)

サイズ

展示面積 890×1,235

収蔵番号

KA-003

© Anselm Kiefer

19世紀フランスの歴史家ジュール・ミシュレは、『革命の女たち』(1854)において、フランス革命を生きた女性たちの姿を描きました。さらに100年後、フランスの思想家ロラン・バルトは『ミシュレ』(1954)を著し、ミシュレが紡いだ歴史の語りそのものを読み解きました。アンゼルム・キーファーは、こうした歴史とその解釈の重なりに着目し、《革命の女たち》を制作しています。キーファーにとって歴史とは単なる事実の集積ではなく、誰が語るかによって姿を変え続ける物語でした。
本作に先立つ1986年の同名作品では、鉛のフレームに枯れた花が収められ、フランス革命期の女性たちの名前が記されていました。本作では、そのフレームが14台の鉛のベッドへと姿を変えています。ベッドの中央の窪みには水が満たされ、枯れた花が浮かび、壁面にはマリー・アントワネットをはじめとする21名の女性たちの名前が掲げられています。顔のないベッドは個々の女性たちの不在を示すと同時に、歴史のなかで忘れられ、語られることの少なかった存在を想起させます。
キーファーがしばしば用いる鉛は、錬金術において金や銀へと変化する以前の原初的な物質とされます。重厚に見えながらも柔らかく、容易に変形する鉛は、生から死へと移ろう人間の身体とも重なります。また、枯れたひまわりはキーファー作品に繰り返し登場する人間の象徴であり、生命の循環や死、再生を想起させます。
キーファーはかつて、「フランス人は革命という共通の記憶を持っているが、ドイツ人は革命に到達したことがない」と語りました。ベッドの奥の写真は、フランス革命という歴史的出来事から現代へと続く時間の流れを示し、枯れたひまわりとともに、過去と現在、生者と死者を結びつけているかのようです。キーファーのインスタレーションは、史実を振り返るだけではなく、人間を取り巻く物語や革命という集合的記憶、そして私たち自身が歴史をどのように受け継ぎ語り継ぐのかを問いかけているのです。

アンゼルム・キーファー

作家名

アンゼルム・キーファー

制作年

1992

素材・技法

ミックス・メディア(14台のスチールベッド、鉛、他)

サイズ

展示面積 890×1,235

収蔵番号

KA-003

© Anselm Kiefer

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