堂本尚郎

水の中の長方形

1986
1
作家名

堂本尚郎

制作年

1986

素材・技法

ミクストメディア/カンヴァス

サイズ

162.0×227.0cm

収蔵番号

DH-008

©︎ Yuumi Domoto

1980年代に展開された<臨界>シリーズでは、それ以前の<連鎖反応>シリーズで探求された波状のパターンがさらに発展しています。円をずらしながら反復することで生まれるS字状のリズムに矩形が重ねられ、画面には奥行きと二層的な空間が生み出されています。<連鎖反応>シリーズの源流には、1957年、腎臓結石の手術後に南フランスのヴァール県サナリーの海岸で静養していた堂本が、打ち寄せる波に魅せられた体験があります。そこで見出された波紋のイメージは、その後も《三つの正方形》(1986)、《水の中の長方形》(1986)、《臨界 A.B.C.D…》(1987)など、多くの作品に展開されました。
本作では、波紋の上に透明あるいは半透明の矩形が重ねられ、見る者はその向こう側にある色彩や形態を同時に知覚することになります。矩形は単なる幾何学図形ではなく、画面の中に動きや空間を生み出しながら波紋と溶け合い、前後関係や表裏の区別を揺るがしています。シリーズ名である「臨界」は、原子核分裂の連鎖反応が持続する限界状態を意味する言葉です。本作においても、円からS字、そして波紋へと広がる運動の連なりが画面全体にエネルギーを与えています。波紋と矩形が交錯する空間には、見えるものと見えないもの、現れるものと隠されるものの境界が生まれています。そうした境界は、堂本が日本画を通して培った感性や記憶の層を示唆しているのかもしれません。

堂本尚郎

作家名

堂本尚郎

制作年

1986

素材・技法

ミクストメディア/カンヴァス

サイズ

162.0×227.0cm

収蔵番号

DH-008

©︎ Yuumi Domoto

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