2018.07.01・
本展の3人の共通点は、「記憶」を題材に制作している点です。ニューヨークでの美しい記憶の対象が破壊されることへの慟哭や、好きな映画の一場面を独自のデペイズマンの手法で描く依田洋一朗。幼少期に滞在したアジアの記憶を、高度な色彩対比と光で美しいトロンプルイユに料理する箱嶋泰美。そして、旅行で訪ねたフィンランドで、網膜に焼き付いた光と記憶をテーマに、「過去を、今、追体験させる」抽象絵画で表現する畑山太志。キャリアもバックグラウンドも違えど、「記憶」をテーマにした3人の画家の壮大な叙事詩的作品をゆっくりとご堪能頂きたいと思います。
<関連イベント>
・ギャラリー・トーク/依田洋一朗×箱嶋泰美×畑山太志
日時:9月8日(土)15:00〜16:00
参加費無料:要当日観覧券 申込不要
・ワークショップ/箱嶋泰美
「色の探検 」・・・さがしてみよう、自分の色
日時:10月6日(土) 13:30〜15:00
対象:小学生と保護者 定員:10組
参加費無料、要当日観覧券
ワークショップの申込方法:いずれかの方法でお申し込み願います。
1. 電話0267-46-2020 2. FAX 0267-46-2021 3. メール (karuizawa@smma.or.jp)
下記項目をお知らせ下さい。
お名前 2. 人数 3. ご連絡先(電話番号/Eメールアドレス/FAX番号)
◼ 同時開催/SMMAコレクション展
セゾン現代美術館では、国内外の現代美術作品を約500点収蔵しております。常設展では、パウル・クレー、ジャスパー・ジョーンズ、宇佐美圭司などの作品をご紹介いたします。
✻「網膜と記憶のミトロジー」展開催期間中、入館料にてご覧いただけます。
2017.06.26・
20世紀初頭のパリを中心にヨーロッパで芽生えた前衛美術は、大西洋を渡り、第二次大戦後の戦火を逃れたニューヨークで大きく開花しました。一方、戦後の日本では欧米の美術動向に影響を受けながらも、単なる模倣ではない、独自の思考と表現を実践する作家たちが次々と登場していきます。
本展では、「芸術の都」と呼ばれた<パリ>、ポップ・アート等の先鋭的なアートを生み出した<ニューヨーク>、そして、この二つの都市の影響を受けながら独自の発展を続ける<東京>の3都市をテーマに展示を構成し、今日に至る<モダン・アート>の流れを辿ります。
2017.03.29・
量より質で知られるセゾン現代美術館のコレクション。必ずしも美術史に沿うように網羅的ではないのは、作品本位すなわち感性本位だからです。それぞれの作品に現れる<美>と、それを感動的に伝える<藝>を、かけがえもないものと考えるからです。
それにしても、<美>や<藝>はさまざまです。それは美術作品がつくられ続けてきた原点ともいえるでしょう。どんなに古い美術品も、その時代には現代美術だったのですから。
本展では、セゾン現代美術館の前身高輪美術館のコレクションも特別に<蔵出し>展示します。時代を超えて美と藝に出会いたい方をお待ちいたします。一見さんも大歓迎です。
2016.07.24・
恋愛の色は何色?
19世紀イギリスのロマン派詩人シェリーが「恋愛の真の本質は自由である」と語りました。「恋愛=自由」それは時に身勝手で一方的、盲目的であり、自己愛の延長に他ならない。だからこそ、何色にも染まらない「黒」なのです。
恋愛は、時にその自己愛的感情を超越し、自己犠牲を含む「愛」に発展する可能性を秘めています。人類最古の叙事詩と言われるギルガメッシュ叙事詩にもすでに記述が見られ、日本で平安時代に生まれた世界最古の小説である源氏物語はもちろん、世界のあらゆる文学作品に登場するのと同様に、現代美術作品においても数多くの作家が恋愛をテーマに、また恋愛からインスピレーションを得た作品を創作してきました。
今回の展示ではこのような恋愛の要素を中心に据え、「昔の場所や事物に思いをはせること」という広義の「恋」からも着想を得ながら、恋愛にまつわる作品の展示はもちろん、恋愛を彷彿とさせる作品を主観的に展示しています。本展が、みなさまに今一度トキメキを体験して頂くきっかけとなれば幸いです。
2016.04.23・
「UNTITLED」や「無題」は、作品のタイトルなのでしょうか? それともタイトル(題)がないという意味なのでしょうか? それは現代美術の本質的な問題でもあります。
具象的な作品の多くは、それが表す事象の名称がタイトルになっています。「裸婦」や「自画像」や「富士山」のようなものです。タイトルが示すものは作品の外部に存在していて、作品はその仮象なのです。
他方で外部の存在を再現しない抽象美術は、作品そのものがすべてです。タイトルが表す対象が作品の外にはありません。作品が表すものを尋ねられても、「そんなものはない。この作品があるのみだ」と答える代わりとして、「UNTITLED」や「無題」があるのでしょう。その意味では「UNTITLED」と「無題」は、最も純粋で、最も強固で、最も自立的な創造性の表明に違いありません。
本展では、「UNTITLED」と「無題」の作品にはじまり、最小限の文字や数字をタイトルとした作品、それには反するように積極的にタイトルを重視した作品までを展覧します。名付けられた「UNTITLED」とさまざまなタイトルを、作品の創造の一部としてお楽しみください。