大竹伸朗

網膜9(ブラウン・ヘッド)

1988–1990
1
作家名

大竹伸朗

制作年

1988–1990

素材・技法

写真、布テープ、プラスティック/板

サイズ

292.0×218.0cm

収蔵番号

SU-003

© Shinro Otake

大竹伸朗の「網膜」シリーズは、1988年から1991年にかけて制作されました。本シリーズでは、写真撮影や印刷の現場で用いられる露光テスト用のポラロイドフィルムに残された光の痕跡がキャンバス上に拡大転写され、その表面を透明なウレタン樹脂が覆っています。
写真や印刷、そして人間の眼は、いずれも光を受け取ることで像を生み出します。その過程には、光に反応し、像の見える/見えないを左右する膜状の存在があります。印刷では光によって像を記録・転写する感光膜が用いられ、人間の眼では透明な網膜が光を感知して脳へと伝達します。本作においては、透明なウレタン樹脂が光の痕跡を封じ込める膜のような役割を果たしています。ウレタン樹脂自体は光に反応するものではありませんが、その透明な層は光の反射や屈折、周囲の映り込みを生み出し、鑑賞者の視覚体験を絶えず変化させます。
しかし、その奥に現れる像は、写真や印刷のような明瞭なイメージではありません。露光の過程で偶然生じた光の痕跡が拡大されたその像は、記憶の中の残像のように曖昧で、見えているにもかかわらずはっきりとは捉えられません。
「網膜」シリーズは、写真や印刷、そして人間の視覚に共通する「光によって像が生まれる仕組み」を通して、私たちが現実をどのように見て記憶しているのかを問いかける作品といえるでしょう。

大竹伸朗

作家名

大竹伸朗

制作年

1988–1990

素材・技法

写真、布テープ、プラスティック/板

サイズ

292.0×218.0cm

収蔵番号

SU-003

© Shinro Otake