ジャスパー・ジョーンズ
Within
- 作家名
-
ジャスパー・ジョ―ンズ
- 制作年
-
2007
- 素材・技法
-
凹印刷
- サイズ
-
107.3×82.5cm
- 収蔵番号
-
JJ-011
-
© 2026 Jasper Johns / ARS, New York / JASPAR, Tokyo E6362
支持体の表面を覆い尽くすフラッグストーン(敷石)パターンは、ジョーンズがニューヨークのスパニッシュ・ハーレム地区で見かけた石壁に着想を得たものです。1967年の《ハーレム・ライト》で赤・白・黒のフラッグストーンが初めて登場し、その後1972年には、クロスハッチ、フラッグストーン、立体的な木材を組み合わせた《Untitled》が制作されました。この作品の凹版版画は、作家サミュエル・ベケットとの共同プロジェクト『フォイラード/フィズルズ』(1976)に収録されています。
ベケットのエッセイとジョーンズによる33点の凹版作品からなるこの限定本を経て、2005年、ベケットへのオマージュとして制作された《Beckett》において、初めてグレーのモノクロームによるフラッグストーンが描かれました。グレーはジョーンズにとって重要な色彩であり、多彩色がもたらす固定化されたイメージや感情的な効果を抑え、対象をより中立的に捉えるための色でもありました。その静謐な印象は、ベケット作品の雰囲気とも響き合っています。
本作《Within》(2005)は、この《Beckett》のフラッグストーンのパターンをもとに制作された作品です。しかし本作では、敷石の背後にクロスハッチングの層が透けて見えます。この下地は1983年に描かれたまま20年以上未完成だった作品であり、ジョーンズはそのカンヴァスの上に、パレットナイフで石を敷き詰めるようにフラッグストーンを描き加えました。本作の凹版印刷でも、石壁の表面を見つめるうちに、その内側(Within)にあるクロスハッチが浮かび上がってくるような視覚効果が生まれています。
また、赤と緑、青とオレンジ、黄と紫という補色の組み合わせは、互いに混ざり合うことでグレーになることを想起させます。グレーの中に透けて見える色彩は細胞のようにも見え、石壁という具象的なイメージの奥に潜む抽象的な構造を示しています。本作は、表面の向こう側に何かを見出そうとする鑑賞者の視線を絶えず誘い続ける作品といえるでしょう。
ジャスパー・ジョーンズ
- 作家名
-
ジャスパー・ジョ―ンズ
- 制作年
-
2007
- 素材・技法
-
凹印刷
- サイズ
-
107.3×82.5cm
- 収蔵番号
-
JJ-011
-
© 2026 Jasper Johns / ARS, New York / JASPAR, Tokyo E6362