サム・フランシス

無題 WC-008

1957
1
作家名

サム・フランシス

制作年

1957

素材・技法

グアッシュ/紙

サイズ

103.7×195.0cm

収蔵番号

FS-004

© 2026 Sam Francis Foundation, California / ARS, N.Y. / JASPAR, Tokyo B6362

1950年代半ばから、今までとは大きく画風が変わることになります。1955年、初めての美術館展覧会への参加となる「Tendances Actuelles(現在の傾向)」展(クンストハレ、ベルン)に7点出品しました。本展は、ジャクソン・ポロックやジャンポール・リオペルなど、抽象表現主義やアンフォルメルなどの抽象絵画に注目した展覧会でした。1956年初頭には、NYのマーサ・ ジャクソン・ギャラリーで初の個展を開催し、同年の「Twelve Americans(12人のアメリカ人)」展(ニューヨーク近代美術館)では、7点の大作が展示されたことにより、サム・フランシスは当時の現代美術や抽象絵画の流れにおいて確固たる地位を築いていきました。また、この時期1956-1958年にはバーゼル美術館や草月会館講堂(東京)の壁画制作に取り組むことになります。
こうした活動のなかで、《無題56-005》においては、構図の非対称性、即興性、一面に広がる白を対角線上に貫く色彩、飛び散り、滴る点、画面端の色彩の塊が見え、今までの一面に広がる色彩とは違い、白がより重要な意味を帯びるようになります。この流れの作品として《Japan Line》(1957)を見ることができますが、タイトルからもわかるように、この作風には日本画にも通じる東洋的な「空」の思想、書道のような筆触が感じられます。無限に広がるような白と弾け飛ぶ顔料による筆触がエネルギーを放出しています。《WC00956》(1956)、《WC 008》(1957)にも、こうした特徴を見ることができます。
今まで色彩を通して微かに見えていた光から、光そのものが画面を覆うようになりました。サム・フランシスの作品において、白は単なる背景ではなく、その「空」を引き出すために色彩を放っているとも言えるでしょう。また色彩によって、白も表情を変えるという相互作用が起こっています。水彩画はサム・フランシスの世界観と溶け合い、その透明感、絵具の濃淡によるコントラストや中間色調、即興性による動きや自由度とも相性がよく、その絵画空間をより生き生きとしたものにしています。
1958年に制作された《WC 00658》、《another white blue》にいたっては、この流れの油彩作品《White Line》シリーズにも見られるように、白は1本のライン、川、道となって色彩を分裂させ、貫き、光の道筋をしめしているようです。

サム・フランシス

作家名

サム・フランシス

制作年

1957

素材・技法

グアッシュ/紙

サイズ

103.7×195.0cm

収蔵番号

FS-004

© 2026 Sam Francis Foundation, California / ARS, N.Y. / JASPAR, Tokyo B6362